サラーム!中央アジア絶景乗馬旅アシュトラベルのSugiです。
今日は、日本や韓国からのキルギスツアーお問い合わせで人気のスポット、アルティンアラシャンのお話。
ただ、ごめんなさい。おすすめの記事ではありません。
アシュトラベルは今、アルティンアラシャンへのご案内をお休みしています。あんなに人気なのにどうして扱っていないの?とご質問をいただくこともあるので、理由を書いておこうと思います。
アルティンアラシャンってどんなところ?

インスタでキルギスを検索するとよく出てくる人気スポット。
標高2,600m、名前の意味は黄金の湯
場所はイシククル湖の東側、カラコルの街から山へ入った渓谷。標高は2,600mあります。キルギス語で「黄金の湯」という意味。
天山トウヒの原生林が残る谷
谷の両側をびっしり埋めているのは、天山トウヒの原生林。まとまった原生林がこれだけ残っている谷は、キルギスでもそう多くありません。
ユキヒョウやクマの生息域でもあります。谷の南にどんとそびえているのが、標高およそ5,000mのパラトカ峰。テントみたいな形をしているので、その名前で呼ばれているそうです。
谷底に湧く2種類の温泉
そして谷底に湧いているのが温泉。ラドン泉が約35℃、硫化水素泉が約41℃。屋内の浴槽もあれば、岩をくり抜いた露天の石風呂もあります。
今でも岩のくぼみにお湯が溜まっただけの手つかずの湯船が残っています。湯船によって温度はさまざま。
アラコル湖トレッキングの拠点
カラコルから山を越えて標高3,532mの高山湖アラコル湖へ、そこからアルティンアラシャンへ。キルギストレッキングの中でも人気のルートです。
山を歩いて、冷えた体をお湯に沈めて、雪をかぶった峰を眺めながら夜を明かす…。世界中から人が押し寄せる理由がなんとなくわかります。
途中から現地の車じゃないと入れません

カラコルの街からは、そう遠くありません。それでも四駆で1時間半ほどかかります。距離ではなく、道の中身が問題です。
舗装が切れるのは谷の入口
街を出てしばらくは、普通の道が続きます。舗装が切れるのが谷の入口。
道はトウヒ林の斜面をヘアピンで這い上がっていって、路面は岩とわだち。ぬかるみもあれば、落石の跡も。
そして川を渡るところ。橋はありません。水の中をそのまま突っ切って渡ります。現地のツアー会社さんの説明にも、道路というより川床に近い、と書かれているくらい。
走れるのは現地オフロード車のみ
アシュトラベルのツアーは、基本的に弊社の専用車でお客様をお送りしています。ドライバーもガイドも、私たちがよく知っているメンバーです。
ただアルティンアラシャンは、途中から弊社の専用車では入れません。谷の入口で車を降りて、現地の車に乗り換えることになります。
ちなみに、この道を歩いて上がる方もたくさんいます。アラコル湖へのトレッキングで、そのまま谷へ入るルートです。ただ歩くと片道4〜5時間、それだけで半日が終わります。
現地ツアーの案内文にも、乗り物酔いしやすい方にはつらいですよ、とわざわざ書いてあるほど。観光地へのアクセス路というより、山道を無理やり車で上がっている、という感じに近いです。
つまりアルティンアラシャンに入るには、途中でお客様に車を替えていただくしかありません。私たちが最後までお連れできない区間があるということです。
渡河の難しさはその日の水量しだい
それから川を渡るところは、その日の水量で難しさが変わります。同じ場所でも朝と夕方で別物。雪解けや雨のあとは、さらに別物になります。渡るかどうかを決めるのは、当日ハンドルを握るドライバーさんです。
現地でこんなことがありました

アルティンアラシャンのツアーは、以前からお休みしています。判断を変えられない理由が詰まっている一本の映像があります。渓谷で撮影されたものです。
映像に映っていたこと
映っているのは、アラコル湖から観光客の方を乗せて戻る途中の車。軍用トラックをベースにした大型車です。渡ってはいけない場所で川に入ってしまい、激流の真ん中で動けなくなりました。
乗っていた方は車の中に取り残されて、男性のおひとりは荷台の屋根によじ登っています。現場には非常事態省(МЧС)の救助隊と重機が入って、牽引と救助にあたりました。
幸いなことに死傷者はいません。全員、無事に救助されています。
映像からわかるふたつのこと
ひとつめは、渡るかどうかの判断がドライバーさん個人に委ねられていること。どこを渡るか、いつ渡るか、水量をどう読むか。決めるのは運転している人です。
ふたつめは、道そのものの構造。橋がなくて、水量が日によって変わる川を渡らないと辿り着けない。読みを外すと、あれだけ大きな車でも流れの真ん中で止まってしまいます。
どこかの会社さんや、特定の運転手さんを非難したいわけではありません。誰がハンドルを握っても、同じ構造の中を走ることになります。
アシュトラベルがご案内をお休みしている理由

ここまで書いてきたことがアシュトラベルがアルティンアラシャンをお休みしている理由につながります。
お休みしている5つの理由
- 道が構造的に危ないこと。渡河があって、岩場があって、オフロード車でないと入れない区間があります。
- 弊社の専用車では入れないこと。谷の入口までは行けても、その先に進めません。
- お客様を、現地の車両にお預けするしかないこと。ガイドはお供しますが、ドライバーは選べず、乗り換えた先の車を選ぶのも運転するのも私たちではありません。
- アルティンアラシャンは、今も観光客が増え続けています。増えていく需要に対して、車の数も運行の管理も追いついていない。乗り換えた先で誰がどんな判断をするかまでは、私たちには責任を持てません。
- 責任を持てないものは売れません。
私たちがご案内するのは行って帰るまでの時間ぜんぶ
アシュトラベルがご提供しているのは風景そのものではなくて、出発してから戻ってくるまでの時間ぜんぶだと思っています。途中で他社さんの車に乗せ替えて、そこからは自己責任でお願いします、という売り方はしたくありません。
現地の会社さんを責めたいわけでは、まったくありません。ただ、私たちが管理できない区間を含むツアーを、アシュトラベルの名前で売ることはできないという話です。
温泉に入りたい方へ|アシュのツアーで入れる温泉

アルティンアラシャンにはご案内できませんが、温泉そのものはアシュのツアーでも楽しめます。行き先はいくつかあります。
赤い奇岩の谷、ジェティオグズ
同じくカラコル近郊にある、ジェティオグズ渓谷。七頭の牛という意味の名前のとおり、赤い岩壁が連なる谷です。ソビエト時代からの温泉保養所があります。いちばん違うのは道で、舗装路が谷まで続いているので普通の車で入れます。川を渡るところもありません。
ジェティオグズ&イシククル湖の絶景乗馬&温泉|ビシュケク発!3泊4日ツアー【初心者から】
イシククル湖畔の温泉
温泉はジェティオグズだけではありません。イシククル湖の南岸、ボコンバエバ村の温泉宿でも入れます。乗馬のあとに湖を眺めながらお湯に浸かる時間は、なかなか贅沢です。
天空のソンクル湖を駆け足半周&鷹匠&温泉|ビシュケク現地発!7泊8日乗馬ツアー【初級者以上】
他のプランでも温泉アレンジができます
上記以外のプランでも、温泉を組み込めることがあります。日程やルートによっては難しい場合もありますので、まずはご相談ください。
なお、キルギスの温泉は水着を着て男女一緒に入るプールスタイルです。水着をお忘れなく。
中央アジアで嫌な思いをしないために

中央アジアの旅で起きるトラブルの多くは移動で起きます。
出発前に確認しておきたい4つのこと
弊社のツアー以外でキルギスを回る場合も、嫌な思いをしてほしくないので注意点を紹介します。
①車の内容を先に聞いておく
現地で車を手配するとき、値段と所要時間だけで決めないでください。車種は何か、悪路の区間はあるか、途中で乗り換えがあるか。聞けばちゃんと答えてくれます。聞かないと、当日まで分かりません。
※キルギスではキルギス語かロシア語、またはそれをミックスして話すので翻訳機をお忘れなく。
②乗り換えがある行程はその先が別の会社
出発地で申し込んだ会社と山道を走る車の会社が別、ということがあります。何かあったときに誰が責任を持つのか、曖昧になりやすいので注意しましょう。
③保険は救助費用まで見ておく
標高2,000mを超えるような場所だと、救助に半日かかることも珍しくありません。海外旅行保険は、治療費だけでなく捜索救助費用が入っているかどうかを確認してみてください。クレジットカードに付いている保険で足りるかどうかも、一度約款を見ておくと安心です。
④行けない日があると思っておく
雨、雪解け、落石。中央アジアの山道は、天候でふつうに閉じます。予定どおり行けない日があるかも、と思って日程を組んでおくと、旅そのものがぐっと楽になります。
それから、断ってくれるガイドを信じてください。行けますよ、と言い切る人より、今日はやめておきましょう、と言う人のほうが、だいたい正しいです。
安全が確認できたらツアーとして紹介したい

アルティンアラシャンは、本当にいい場所です。行った方が口を揃えるのも、すごくよく分かります。
私たちがお休みしているのは、場所の価値の話ではなくて、私たちがお客様を安全にお連れできるかどうかの話です。
せっかく中央アジアまで来てくださった方に、嫌な思いをしてほしくありません。
行かないでくださいね、とは言いません。行かれる方は、車を確認して、保険を確認して、無理な日には引き返す判断ができる現地の方を見つけましょう。
私たちは引き続きアルティンアラシャンの調査を続け、安全が確認できたらツアーを再開したいと思っています。
みなさんの中央アジア旅が安全ですばらしいものになりますように。



